掘ったイモいじるな!

アイスクリーム
   音声を聴いて見ましょう。▶を押すと音声が流れます。
英語の”What time is it now?”は、「掘ったイモいじるな!」と覚えるとよいという噂があります。この噂は本当なのでしょうか。過去2度ほど、あるTV局でこのことを検証する番組を放送しているのをみたことがあります。その番組では、TVのレポーターが都市部の街中を歩いている外国人に「掘ったイモいじるな!」と録音した音声を聞いてもらい何と聴こえるかと質問するものでした。かなりの確率で、外国人は、英語の”What time is it now?と聴き取っていたように記憶しています。それ以来、なんとなく納得いかない日々を送っていました。
そして、ある日以下の実験を思いつき実行してみました。

ある東北の田舎での畑で働いている英語をまったく学んだことのない方に、子供が掘ったイモに無断で触っているような状況を想定して、「掘ったイモいじるな!」と録音していただきました。その音声を英語のNative speakersに聴いてもらいました。結果的にNative speakersは”What time is it now?”とは聴き取りませんでした。

次いで、筆者が自分の英語で「掘ったイモいじるな!」と録音しました。録音の条件は、

a) 日本語のリズムで、「掘ったイモいじるな!」と録音する。
b) 日本語と英語中間のリズムで、「掘ったイモいじるな!」と録音する。
c) 英語のリズムで、「掘ったイモいじるな!」と録音する。

というものでした。

録音結果を英語のNative speakersに聴いてもらい何と言っているかと質問しました。a) の録音に対しては、かなり多くのNative speakersが、”What time is it now?”と答えました。ところが、c) の録音に対しては、ほとんどのNative speakersが「わからない。」と答えました。b) の録音に対しては、”What time is it now?”と「わからない。」という意見にわかれました。

このことから英語の音声に関する大切なことがわかります。日本語で、「掘ったイモいじるな!」と言っても、そのベースになっているリズムが英語らしくなっているか、日本語的になっているかによって英語のNative speakersの聴こえ方に差が生じるということです。音声そのものとリズムとがバランスを取りながら英語という言葉を作り上げているということが理解できます。本プログラムで訓練しているのは、まさにこのようなリズムなのです。